
中国の白バイは、都市部での交通管理やイベント警備、国家行事での先導など多岐にわたる業務を担っています。装備やバイクの種類も年々進化を遂げています。
中国における白バイの役割
中国の白バイは「交通警察部門」に所属しており、主に都市部の交通指導、違反取締り、要人警護、大規模イベントの先導などを行っています。特に首都・北京や上海などの大都市では、交通渋滞や交通事故が頻発するため、白バイ部隊の重要性が年々高まっています。
また、中国の白バイは国際イベント時にも活躍しており、国家元首や外国要人の護送なども担当しています。整然とした走行隊列や先導技術は国家の威信を示す一環としても注目されています。
歴史と導入の背景
中国で白バイが本格的に導入されたのは1980年代以降とされています。それ以前は自動車によるパトロールが主流でしたが、交通量の増加と道路事情の複雑化により、機動力に優れた二輪車が注目されるようになりました。
1990年代には、北京オリンピックや万博などの国際イベントに向けて、白バイの体制整備が進み、都市部を中心に配備が拡大しました。
現在では、各省・市ごとに専属の白バイ隊が編成されており、地域特性に応じた運用がなされています。国際水準に合わせた訓練や装備の近代化も急速に進められているのが特徴です。
使用車種と装備の特徴
中国の白バイで使用されている主なバイクは、BMW R1200RTやホンダ CB1300Pなどの輸入モデルに加え、宗申(Zongshen)や春風(CFMOTO)といった中国国内メーカー製の白バイ専用車も多く導入されています。
特にCFMOTOの「CF650J」は、警察用として設計された高性能ツアラーで、現在では中国国内の多くの都市で標準的な白バイ車両として活躍しています。高い機動性と安定性、視認性の高い警察カラーリングが採用されており、機能性とデザイン性を兼ね備えています。
装備としては、GPS・通信システム・ボディカメラ・LED警告灯・サイレンなどが標準装備されており、近年では5G通信と連動したリアルタイム監視システムの試験導入も進んでいます。
隊員の訓練と育成
白バイ隊員は、警察学校での基礎訓練の後、専門のバイク技能訓練を受けた上で実務に就きます。障害物回避、急制動、Uターンなどのテクニックに加え、集団走行訓練も重視されており、整列美や走行統一性が強く求められます。
また、中国では白バイの登場が市民にとって“権威の象徴”でもあるため、礼儀や立ち居振る舞いにも高い基準が課せられています。国際行事でのプロトコル対応や語学研修などを取り入れる隊もあり、総合的な能力向上が進められています。
今後の動向と課題
中国では近年、環境対策や電動車両推進の一環として、電動白バイの導入にも注目が集まっています。すでに一部の都市では電動警察バイクが導入されており、今後はさらなる配備拡大が見込まれています。
一方で、都市と地方の装備格差や、白バイ隊員の過重労働といった課題も指摘されています。効率的な人員配置や装備の標準化、安全教育の徹底などが今後の運用改善に必要とされています。
市民の信頼と安心を守る存在として、今後の中国の白バイ隊の活躍にも注目が集まります。