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和歌山県には黒バイが存在する

黒バイの特徴

和歌山県警が運用する「黒バイ」は、一般的な白バイとは一線を画する特徴的な存在です。その最大の特徴は、何と言っても漆黒の車体色です。白バイが鮮やかな白色のボディであるのに対し、黒バイは全身を黒一色で統一しています。

この黒色の塗装は、夜間の道路を走行する際の目立たなさを狙ったものです。白バイであれば遠くからでも警察車両とわかりますが、黒バイは道路を闊歩する一般のバイクと見まごうばかりです。まさに「神出鬼没」と形容されるように、黒バイは夜の闇に溶け込むように走り抜けていくのです。

また、黒バイの隊員たちも黒色のヘルメットや制服を身に纏っており、まるで忍者のような装いです。白バイの隊員が明るい色合いの制服を着用しているのとは対照的です。この装いも、黒バイの存在感を極力抑えるための工夫といえるでしょう。

ただし、安全性を考慮して隊員には夜光チョッキの着用が義務付けられています。夜間の視認性を高めるためです。さらに、バイクには赤色灯やサイレン、書類収納用のボックスなど、白バイと同様の装備が施されています。

つまり、黒バイは外見上は一般のバイクに見えつつ、実際は高度な装備と技術を備えた警察車両なのです。

黒バイの目的

和歌山県警の黒バイが担う主な任務は、暴走族対策です。

かつて和歌山県では、毎年11月2日から3日にかけて「イレブンスリー」と呼ばれる日に、大阪と和歌山を結ぶ国道に多数の暴走族が集結していました。この時期は、多くの暴走車両ややじ馬が集まり、大変な混乱を招いていたのです。

そこで和歌山県警は2002年4月、全国に先駆けて黒バイ部隊「黒豹隊」を発足させました。この部隊の主な任務は、夜間の暴走族取り締まりです。

黒バイの機動力と隠密性を活かし、暴走族の動きを察知して迅速に追跡・検挙することが目的です。実際、黒豹隊の活動開始後は、イレブンスリーの状況が大幅に改善されたと報告されています。

現在でも、黒豹隊は和歌山県内の夜間を中心に活動を続けています。ただし、その活動範囲は県内全域に及び、管轄制限にも縛られません。夏季の観光シーズンには、田辺市や白浜町といった観光地域にも出没し、ツーリングするバイクや暴走行為を取り締まっているのです。

このように、黒バイの主な目的は、県内の夜間の交通秩序を守り、暴走族をはじめとする悪質ドライバーを取り締まることにあります。その活動は、県民の安全を守るうえで重要な役割を果たしているといえるでしょう。

黒バイの車種

和歌山県警の黒バイは、主に以下のような車種が採用されています。

  • ホンダ VFR800
  • ホンダ CB1300P

これらのモデルは、一般的な白バイでも使用されているバイクです。つまり、黒バイも白バイと同様の性能と装備を持っているのが特徴です。

ただし、黒バイの場合は車体色が黒一色に塗装されており、目立たないデザインになっています。また、ヘルメットにも警察のマークである旭日章が付いていないなど、外見上の違いもあります。

さらに、黒バイには一般の市販バイクには見られない特殊な装備が施されています。前部にはカメラが設置されており、速度超過や暴走行為の様子を撮影できるようになっています。

このように、黒バイは見た目は一般のバイクに似ていますが、実際は高度な機能と装備を備えた警察専用の車両なのです。その正体を見破られないよう、徹底的に目立たない工夫がなされているのが特徴といえるでしょう。